不妊治療について

不妊治療について

妊娠を望む健康な男女が避妊を行わずに1年以上経っても妊娠に至らない状態をいいます。
また、月経周期が不順、子宮内膜症がある場合などは妊娠しにくいことがあります。このような場合は、早めの検査や治療を行った方が良いこともあります。
さらに、男女とも加齢により妊娠がしにくくなることが知られており、1年を待たずにすぐに治療をした方が良い場合もあります。

お一人あるいはご夫婦のみで悩まず、まずはご相談ください。 

不妊症の原因

不妊の原因はさまざまであり、女性側・男性側の片方に原因がある場合や、両方に原因がある、原因が分からない場合もあります。
原因が一つではない場合もあるため、ご夫婦ともに検査することをお勧めします。

不妊症の検査

基礎体温

排卵の有無や排卵日の予測に有効です。女性ホルモンは、一定のリズムをもって分泌されており、正常月経周期の場合は、低温相と高温相の二相性を示します。基礎体温と超音波検査などと合わせて排卵日が推定できます。

超音波検査

超音波を発信するプローブを膣内に入れて子宮や卵巣に異常がないかを調べる検査です。卵胞の成熟状態や内膜の厚さを確認することにより、排卵の有無・排卵時期を知ることができます。(卵の状態をみることはできません)

子宮卵管造影検査

月経直後に行うレントゲン検査で膣からカテーテルを挿入して造影剤を注入し、子宮の形や卵管の通過性をみるものです。
※検査日が決まっているため、月経中に来院していただき予約をとっていただく必要があります。(検査日は月水金の午前中です)

血液検査(ホルモン測定)

女性ホルモンは卵胞期・排卵期・黄体期などの月経周期によって変化しています。

FSH(卵胞刺激ホルモン) 卵胞を発育させる作用があります。
E2(卵胞ホルモン) 卵胞の成熟度合を確認できます。
LH(黄体化ホルモン) 成熟した卵子を排卵させ黄体を形成させます。
プロゲステロン(黄体ホルモン) 排卵後に形成される黄体から分泌されます。
プロラクチン(乳汁分泌ホルモン) この値が高いと、排卵障害・無月経・黄体機能不全になります。

これらのホルモンは排卵や妊娠に大きく影響しており、排卵や着床に問題がないか、排卵時期の予測などの判断材料になります。

クラミジア検査

感染すると子宮頚管炎・卵管炎・卵管の狭窄・卵管癒着をもたらし、卵管性不妊や子宮外妊娠の原因となります。

精液検査
精液検査

精子の状態をみる男性側の検査です。3~5日間禁欲したのち専用の容器に精液をとって、その状態(精液量、精子濃度、運動率、奇形など)を顕微鏡で確認します。精子の状態は体調などにより変化するので、数回行う場合があります。

※当院では、精液は、基本的に容器を事前にお渡しし、自宅で採取していただきます。採取した精液を持って2~3時間以内に来院していただきます。また、精子を患者さまに実際に見ていただき、妊娠の成立・不妊の原因・不妊治療の概略についてお話しさせていただきます。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)

※生殖補助医療(体外受精)
発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。卵子は年齢とともに数が減少し、卵子自体も年をとり古くなっていきます。
ただ、卵巣予備能は個人差も大きいため、自分の卵巣予備能を知ることは不妊治療をすすめていくうえで有効な検査です。しかし、卵の質をみるものではありません。また、AMHは採血による検査で、他のホルモンに比べて性周期の影響を受けにくいとされており、いつ測定してもよいという利点があります。 

不妊症の治療

タイミング療法

不妊治療の最初に行われるタイミング法は、排卵日に合わせて性交渉を持つことです。
基礎体温や超音波検査により、卵胞の大きさ、内膜の状態などから排卵時期を予測します。排卵を確実に起こさせる注射を使用する場合があります。
卵胞が育ちにくい場合や排卵起きにくい場合は、排卵誘発剤をして卵胞の発育を促します。

人工授精(AIH:Artificial Insemination of Husband)

タイミング法で妊娠が成立しない場合は、次の段階として人工授精を行います。
タイミング法と同様に排卵日を予測し、当日自宅にて精液を採取します。
採取した精液を洗浄し、元気な精子を集めて専用のカテーテルを用いて女性の子宮の中へ注入して妊娠する確率を高める方法です。

人工授精の流れ
人工授精の流れ

1.排卵日を予測する

超音波検査や尿ホルモン検査、頸管粘液検査などで、正確な排卵日を予測します。

1.排卵日を予測する

2.精液を採取する

自宅でマスターベーションにて精液を採ります。

2.精液を採取する

3.精液を洗浄・濃縮する

精液を培養液に入れて遠心分離器にかけ、洗浄・濃縮します。この過程を省略する方法もあります。

3.精液を洗浄・濃縮する

4.精液を注入する

排卵日前後に専用の注射器で、精子を子宮の奥深くに注入します。

4.精液を注入する
体外受精・顕微授精
体外受精

通常は体内で行われる卵と精子の受精を体の外で行ない、受精・分割した卵(胚)を子宮内に移植する方法です。
採卵にあたりAMHの値を参考に卵巣刺激方法を選択していきます。

体外受精の全体の流れ

①卵巣刺激
②採卵
③媒精
④受精確認
⑤顕微授精
⑥胚分割
⑦胚移植
⑧胚凍結
⑨胚融解
⑩着床
図解
体外受精全体図
体外受精全体図

①卵巣刺激方法
①卵巣刺激方法


②③⑤⑦⑧⑨
②③⑤⑦⑧⑨

⑥胚分割(評価)
胚分割(評価) 胚分割(評価) 胚分割(評価) 胚分割(評価)

顕微授精

顕微授精は精子1個を卵の細胞質内に直接注入します。

保険適用料金

令和4年4月より保険適用になりました (患者さま負担30%額)
※採卵・移植までの診察の診療費(再診料・検査費・薬剤費等)は診察日ごとにお支払いいただきます。

一般不妊治療管理料 750円(3ヶ月に1回)
人工授精 5,460円
生殖補助医療管理料 750円(月1回)
体外受精・顕微授精

● 採卵費用(採卵術)

9,600円(採卵0ケを含む)
+採卵個数により下記を加算

1個 7,200円
2~5個 10,800円
6~9個 16,500円
10個以上 21,600円

● 胚移植費用

新鮮胚移植 22,500円
融解胚移植 36,000円

+アシステッドハッチング:3,000円
+高濃度ヒアルロン酸含有培養液:3,000円
(2回目以降必要に応じて)

● 受精費用

1.体外受精(自然な受精)

1回 12,600円

2.顕微授精(ICSI)

1個 14,400円
2~5個 20,400円
6~9個 30,000円
10個以上 38,400円

+卵子調整加算:3000円(2回目以降必要に応じて)

3.体外受精、顕微授精の両方

体外受精×1/2 6,300円
+顕微授精の個数の費用

● 胚凍結保存管理費用

胚凍結保存管理料(凍結時)

1個 15,000円
2~5個 21,000円
6~9個 30,600円
10個以上 39,000円

胚凍結保存維持管理料

年1回(2年目以降)
10,500円
*治療を継続している場合のみ

● 受精卵培養費用

1個 13,500円+胚盤胞加算
2~5個 18,000円+胚盤胞加算
6~9個 25,200円+胚盤胞加算
10個以上 31,500円+胚盤胞加算

【胚盤胞加算金額】
*胚盤胞を目指して培養した場合に加算されます。

1個 4,500円
2~5個 6,000円
6~9個 7,500円
10個以上 9,000円

※高額医療制度の対象となります。
※市町村によっては、助成金があります。各市町村のホームページでご確認ください。

参考

厚生労働省ホームページに保険適用の概要が 掲載されております。 
「不妊治療に関する取り組み」 

ふたばクリニック 産科・婦人科

藤田病院

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